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3Dモデリングが変える未来のオフィス遮音・防音の音響設計

更新日:5月8日

神山聴景事務所の神山です。

新しくオフィスを新設するときに一番大事なこととはなんでしょうか?

それは音環境です。

音環境が悪いと、いくらレイアウトやインテリアが良くても騒音だらけになってしまったり、逆に静かすぎると空間用途によりますがストレス過多で窮屈な環境になってしまうでしょう。

このような問題を工事前に対策しておけば防ぐことが可能になります。

これが工事後になってしまうと吸音パネルを貼り付ける以外方法がなかなかありません。

スピーカー一台つけるのにも苦労します。

図面から音響的課題を検出し対策をどのように出していけばいいのか。オフィスの聴景を心地よくする、弊社サービスをオフィス音響の話を交えながらご紹介します。

3Dモデリングで音響課題を検出

すでに稼働されているオフィスでも利用できるサービスです。

ある案件で作成した3Dモデリングがこちらです。




さまざまな色が混在しているのが確認できますが、これがいろんな音が混ざり合った音環境を見える化した状態になります。

色の濃淡で騒音レベルの大きさを表していて、色が濃いほど騒音レベルが高いことを意味します。

オフィスがまだ出来上がっていないのにどうやって騒音レベルなんかわかるんだという疑問があると思います。

あらかじめ建築資材・家具などの情報が分かればどういう音がどの程度の騒音レベルになるのか予測はすることができます。

先に音環境を把握しておくとより具体的な音響対策ができることでしょう。

会議室は他の部屋に比べて音が反響しやすい空間ですし、広い空間では音が遠くまで届きやすいなど、空間特性やレイアウト特性がわかることで音環境の特性も見えてきます。

問題になりやすい音とは

こうした3Dマッピングを作成すると騒音化しやすい音が見えてきます。

やはり第一位は会話音です。




これを防ぐパターンは吸音パネルか、サウンドマスキングのどちらかになりますが、もう一点あります。

それはレイアウトや空間用途の変更です。または注意喚起などをして従業員にその空間の用途を把握してもらい静寂な環境作りに努めてもらうという方法もあるかと思います。

ですが、空間の特性によってはキーボードのタイピング音がかなり目立つ、足音が目立つということがあります。

こうしたアタックの強い音は建材を変えることで軽減できることが多いです。

問題になりやすい音はあります。しかし空間特性はそれぞれ違っているので、やっぱり想定外な騒音が検出されたりするのが音響の難しいところであり面白いところでもあります。

音響対策案の提案



問題を検出できたら次に対策案を提示していきます。

その空間のインテリアを汚さないようなデザインの吸音パネル、あるいは天井から吊り下げるタイプの吸音パネル。

他には床材を変えて音が響かないようにしたりといろんな方法があります。


オフィス向けの吸音材は海外メーカーも含めたくさんあるので、何を重視するか決めておけばそんなに悩まなくて済むと思います。



日本のオフィスは音問題をどう捉えているのか。

一概には言えませんが、海外特に欧米のオフィスの方が音響対策がしっかりしている印象です。

私が経験してきた外資系企業は音響にとても厳しいルールを設けていて

それは、発生する音を

残響時間0.8秒以下

騒音レベル65dB以下

になるような環境にしてくださいというものでした。

騒音レベルの方は比較的クリアすることが容易なんですが、問題は残響時間。

音が発生してからその音が聞こえなくなるまでの時間を指します。

この規定された数値を下回るにはいくつかの音響対策が必要でした。

それくらい従業員の働く環境を考えているということです。

残響時間や騒音レベルの目標数値がわかるだけでもいろんな対策案が出せるので、まずは目標を立ててみることから音響対策について検討するのもいいでしょう。

日本のオフィスもこれくらい徹底していって欲しいものです。

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