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睡眠時の騒音対策は「音を防がない」

更新日:16 時間前

はじめに


聴景事務所代表である私神山は長い間、不眠症や浅い眠りに悩まされてきました。現在も時々、そうした症状に見舞われます。

一般に、睡眠に影響を与える最大の要因は騒音とされています。

しかし、私自身は悩み事が頭から離れない、または体が十分に疲れていないにもかかわらず無理に眠ろうとするケースで眠れないことが多いため、騒音による睡眠障害にはそれほど悩まされたことがありません。

それでも、騒音に悩む人々が多いことは承知しています。そのため、聴景デザインの観点から防音対策について考えてみました。


従来の防音対策


1耳栓




これはよく知られている対策ですね。耳栓を使って音を完全に遮断する方法は、イビキ、交通騒音、その他さまざまな要因によって生じる騒音対策として考えられます。


一方で、足音のような振動による騒音を耳栓で防ぐことはできるのかとよく尋ねられます。しかし、足音は振動によるものなので、耳栓では防音することが難しいです。

この振動には慣れるしかないのですが、なかなか慣れることができないものです。

私自身もこの問題に悩まされた経験があります。


しかし、耳に何かを詰めることは、個人的には好ましくないと感じています。それは不快感を与え、眠りにくくさせるからです。


2 マスキング音



アマゾンなどでも販売されている一般家庭用のサウンドマスキングスピーカーです。

内蔵されている音は空調音に似たようなホワイトノイズで、それを用いて対象の音を打ち消すという仕組みになっています。

角度調整や無指向性のもありマスキングしたい音を的確にマスキングできるものもあるそうです。


商品例

ホワイトノイズマシン elesories https://amzn.asia/d/iMtNBix


ホワイトノイズはオフィス向けのマスキングサービスにも応用されています。


これを使うことで劇的に睡眠効果が高まるという意見も聞きます。

ただし、突発的な音や振動には対処することが難しそうです。

それもそのはず、まず振動は前述の通りですし、突発的な音は予測できませんので防ぎ用がありません。

それは日中でもそうなんですが、私たちはどうして寝る時に音に敏感になるのか。


目の代わりになる耳の危機管理システム


私たちは危機を察知する時に五感を研ぎ澄ませて感じとります。

地震の時は揺れ、ガス漏れの時は臭い、大きな衝撃などは音を感じ取っています。

話はそれますが、地震の時筆者は揺れの前に感じる建物が軋む音を聞きます。そしてその直後に地震が発生するという、予知能力かわからないような小さな変化を感じる時があります。

読者の皆さんの中にもそうした経験をしている人はいるのではないでしょうか?


日中夜間問わずこうした事象が発生するときにどの機能が危機を察知するのかというと聴覚になります。

寝るときは特にその役割は顕著です。



無防備な状態になると、聴覚が敏感になり、わずかな音も拾い上げるようになります。

これは危機感知能力が高まっていることの証です。


遠い昔、人類がまだ木の上で暮らしていた時代には、常に危険が身近にありました。

寝ている間も安心できるわけではなく、いつ敵に襲われるかわからない不安定な状況でした。

そのような環境で発達したのが、危険を察知するための聴覚です。聴覚によって危険を感知し、それが私たちの生存に大きく貢献してきました。


つまり、聴覚による異常な反応は、身の周りに危険が迫っている可能性があることを示しています。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、小さな音を拾うことで、危険な状況を察知しているのです。

実際、睡眠時には小さな音もより目立ち、それが睡眠の妨げになることはよくあることです。

これらの問題に対処するために、音楽を流したり、時には動画コンテンツを再生しながら眠ることも一つの方法でしょう。

聴景デザイン的対策では環境を汚さずにマスキングできる方法をご紹介します。




聴景デザイン的対策 まず1つ目


窓を開ける


意外とやっていないことではないでしょうか?

住んでいる場所によって耳に入る音は異なりますが、その話は一旦置いておきましょう。実は、窓を少し開けるだけでも音が入ってくるということを意識していますか?

例えば、近くに大通りがある家では、窓を少し開けるだけで騒音が入ってくる場合があります。この小さな行動が、大きな影響を及ぼすこともあるのです。

一方、周囲が静かな環境であっても、窓を開けることで暗騒音(バックグラウンドノイズ)が聞こえてくることがあります。





暗騒音とは?



今の家はかなり密閉されていますから、暗騒音が聞こえるだけでも少し安心すると思います。

交通騒音はピンクノイズに該当することがあり、f/1揺らぎと称される心地さを生み出すと言われている周波数を出しています。

これは家から道路までの距離にもよりますが、中〜高層階、道路からちょっと距離がある住居ではピンクノイズとして聴くことができるかもしれません。


ピンクノイズとは




2つ目

耳元で環境音を聴く






神山聴景事務所では、上階の足音が気になりにくくなる実験的な音源を作成しました。

足音のサンプル音源とノイズを組合せたコンテンツです。

時々足音が聞こえるようにすることで不快な上階の騒音をマスキングする効果が期待されます。


この音源は、イヤホンでの視聴や、スピーカーを耳元に置くことで、周囲の騒音への注意をそらす方法です。


耳元で聴く際は、音量に注意してください。目安としては、最大音量の1/4程度が適切かと思われます。個人差はありますが、このくらいの音量が快適でうるさくないと感じる方が多いようです。


音の感じ方は人それぞれですので、ご自身に合った心地よい音量を見つけることをお勧めします。ちなみに、iOSにはこのような機能が備わっているため、試してみてください。







神山聴景事務所について





神山聴景事務所は心地良い音環境及び体験を音響設計と空間向けに特化させた音楽でデザインするサービスを展開しています。



オフィス空間では、配信サービスの音楽や自然音が利用されている一方で、音が騒音となり問題視されるケースが多く、適切な対策が取られないまま運用されているのが現状です。


当社では、このような問題を解決するため、オリジナルの音響設計と独自技術で開発した音源を提供しています。ただし、これらを一律に提供するのではなく、空間の特性に応じて音響調整を行い、最適な音環境を実現します。


「空間特性」とは、その空間に存在する音全般を指します。例えば、屋内は静かでも外の交通騒音が気になる場合や、BGMが悪目立ちして騒音になっている場合、足音が強調されている場合など、その空間における騒音源を特定し、適切なマスキング対策を行います。


しかし、現在の多くのマスキング技術は、一見問題を解決しているように見えても、長期的にはそのマスキング音自体が騒音と感じられるケースが多く報告されています。


「たかが音、されど音」。音は常に耳に入ってくるため、長期的には心身に大きな影響を及ぼす可能性があります。心地よい空間づくりは「耳の環境」から始まり、耳に入る情報を適切にデザインすることが、健やかなライフスタイルにつながります。



株式会社神山聴景事務所










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