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第4回 「音に関するウェルビーイングへの扉」

執筆者の写真: 神山聴景事務所 株式会社神山聴景事務所 株式会社

今回は 「音に関するウェルビーイングへの扉」 というテーマでお話しします。

第3回までは、音響的な対策や音の種類などに焦点を当てた内容となっていましたが、今回はウェルビーイングな音環境にしていくための考えや作法について解説していきま す。

 

音に関するウェルビーイングへの扉

目次

パート1 音の重要性

パート2 音の見つけ方

パート3 音の「聞かせ」方


 


パート 1  音の重要性


音は24時間絶え間なく耳に入ってきます。

特に耳障りな音は、長期的に悪影響を及ぼし病気のリスクを高めることが報告されています。そのため、すべての空間において音の存在は無視できません。オフィスも生活の一部として捉え、適切な音環境を設計する必要があると考えられます。


音の調整による生産性向上に関しては多くの研究が行われており、以下のような効果が確認されています。



このようにオフィス環境において音の各要素を適切に調整することで、 ストレスを軽減 し、心地良い音環境を作り出すことが可能になります。

次の章では、最適な音をどのように見つけていくかを解説します。



 


パート2 音の見つけ方


オフィス空間において、どのような音をどの目的で使用するかを掘り下げて考えること は、 ウェルビーイングな音環境を構築するための第一歩です。


このイラストは、遮音対策 を起点として音導入の目的を明確にするプロセスを示しています。音の問題をきっかけに遮音対策を進める際、「なぜ遮音を行うのか」を深掘りすることで、より詳細で的確な音環境の設計が見えてきます。例えば、以下のようなステップで考えると良いでしょう。




これらを洗い出していくと、 それぞれの環境に合った音が見えてきます。


次に、 選んだ音特に自然音をどう調整すれば心地よく聞かせれるのかを解説します。



 


パート3  音の「聞かせ」方


音の捉え方には「音響」と「音環境」の2つの視点があります。



ウェル ビーイングな音環境を構築するためには、「音環境」の視点が欠かせないと考えます。

音環境という視点で音楽を調整する場合、楽器ごとの音を個別に調整するなど細かい配慮 が必要となり、制作者でない限りそれを行うのは難しいです。


一方、自然音身近な方法 でより自然な聞こえ方を実現できます。

自然な聞こえ方は、「音の種類」と「音の距離」の組み合わせによって生まれます。「音の種 類」は既存の音源を選ぶことで決まりますが、「音の距離」は音量の調整で制御できます。




例えば、鳥のさえずりは真上で鳴いているように聞こえる場合と、遠くで鳴いているよう に聞こえる場合で、印象や作業への影響が異なります。作業環境において、近くで鳴いている鳥の高音耳につきやすく、集中を妨げることがあります。心地よいさえずりとは、さりげなく聞こえる音です。




適切な音量を具体的に示すのは難しいですが、空間特性によって異なる音量値を考慮し、初期設定の音量を半分またはその少し下に調整すると、遠くから聞こえるような音環境にすることができます。


川のせせらぎも、うるさく感じた場合は音量を下げることで、静かでさりげない音環境を 生み出し、心地よさをもたらします。



つまりこの作業は「音響対策」ではなく、「音の風景設計」として捉えることが重要です。 この視点を持つことで、 普段耳にする音に対する意識が高まり、 心地よさの基準を見つけ ることができるようになります。



 


最後に 

楽器で構成された音楽について


気になる楽器の音をイコライザで目立ちにくくすることはできますが、完全に消すことはできません

オフィスに合った音楽とは、第1回でも解説した通りメロディや目立つ周波数を含んだ楽器の音を含まないものになります。そのような楽曲はなかなか見つかりませんが、聴景デザインではそれを1から作曲もしくは既存曲をアレンジし環境に合った音をご提供できます。


もし自然音以外の音でお悩みがありましたら、 神山聴景事務所のお問い合わせページよりご相談ください。

お読み頂きありがとうございました。

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