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【ダイジェスト版】オフィスの音環境を整えるには?騒音対策だけではない音環境デザインの考え方

更新日:7月15日

はじめに


オフィスの音環境について相談を受けるとき、多くの場合、最初の言葉は「うるさい」「声が漏れる」「集中できない」です。

もちろん、オフィス騒音への対策は重要です。会議室の音漏れ、Web会議の声、電話、複合機、キーボード音、足音などが重なると、働く人の集中力や疲労感に影響します。

ただし、音環境改善は「音を小さくすること」だけではありません。

静かすぎるオフィスでは、ちょっとした物音が目立ち、会話もしづらくなります。反対に、賑わいを残したいラウンジまで過度に吸音してしまうと、その場所らしい活気が失われることもあります。


大切なのは、空間ごとに「どんな過ごし方をしてほしいか」を決め、その目的に合わせて音を整えることです。集中しやすい、話しやすい、安心できる、居心地がよい。そうした状態を音から設計する考え方が、音環境デザインです。

オフィスの音環境を整えるには?騒音対策だけではない音環境デザインの考え方


なぜ今、オフィスの音環境が重要なのかオフィスの音環境を整えるには?騒音対策だけではない音環境デザイン


オフィスの音環境が注目される背景には、働き方の変化があります。

以前のオフィスでは、執務、会議、電話、休憩の場所が比較的分かれていました。しかし現在は、フリーアドレス、ABW、オンライン会議、集中ブース、オープンなコミュニケーションエリアなど、複数の働き方が一つの空間に混在しています。

その結果、音の課題も複雑になりました。


オフィス音環境

たとえば、執務席でWeb会議をする人の声が周囲の集中を妨げる。会議室では隣室への音漏れが気になる。ラウンジでは会話を促したいのに、静かすぎて落ち着かない。集中スペースにサウンドマスキングを入れたものの、音が目立って逆に気になる。

こうした問題は、単独の製品導入だけでは解決しにくいものです。なぜなら、音の聞こえ方は、空間の広さ、天井の高さ、仕上げ材、家具、レイアウト、利用人数、時間帯、働き方によって変わるからです。

オフィスの音環境は、内装や照明、家具と同じく、空間設計の重要な要素として扱う必要があります。



オフィスで起こる代表的な音の課題



オフィスの音問題は、いくつかの種類に分けて考えると整理しやすくなります。

課題

起こりやすい場所

主な原因

検討すべき対策

会話音が気になる

執務室、集中席

Web会議、電話、雑談

レイアウト、吸音、サウンドマスキング、運用ルール

会議室の音漏れ

会議室、個室ブース

壁・扉・天井裏の遮音不足

遮音、隙間対策、音環境調査

音が響く

会議室、ラウンジ

硬い床・壁・天井、ガラス面

吸音、家具配置、残響時間の調整

静かすぎて話しにくい

集中席、少人数オフィス

暗騒音が少ない

環境音、サウンドマスキング

BGMが気になる

執務室、共有部

メロディや音量が強い

音源選定、音量設計、スピーカー配置

音量が時間帯で合わない

共用部、サテライトオフィス

利用人数や周囲音の変化

自動音量制御、運用設計

ここで注意したいのは、「会話音が気になる」と「会議室の音漏れ」は似ているようで、対策が違うという点です。

会話音が目立つ場合は、吸音やサウンドマスキング、席配置の見直しが有効なことがあります。一方、会議室から隣室へ内容が聞こえる場合は、遮音性能や隙間、天井裏の回り込みなどを確認する必要があります。

症状だけで判断せず、音がどこで発生し、どこへ届き、なぜ気になるのかを分けて見ることが大切です。


音環境調査資料のイメージ


音環境デザインとは



音環境デザインとは、空間の用途や利用者の行動に合わせて、音の状態を計画することです。

音環境デザイン手法

一般的な騒音対策は、問題のある音を減らす方向で考えます。もちろんそれは必要です。しかし、オフィスでは「減らす」だけでは足りない場面があります。


集中スペースでは、周囲の会話を目立ちにくくする必要があります。ラウンジでは、適度なざわめきや安心感が必要です。受付では、来客者が緊張しすぎず、企業の印象も伝わる音環境が求められます。会議室では、話しやすさと音漏れ対策の両方を見なければなりません。

つまり、音環境デザインは「静かな空間」を作る作業ではなく、「その場所にふさわしい聴こえ方」を設計する作業です。


そのためには、吸音、遮音、レイアウト、スピーカー配置、環境音、サウンドマスキング、音量、運用方法までを一体で考える必要があります。


※吸音材や遮音性を考慮した壁素材などの提案はしておりません



吸音・遮音・BGMだけでは解決できない理由



オフィスの音環境改善では、よく「吸音パネルを貼ればよい」「防音すればよい」「BGMを流せばよい」と考えられます。どれも有効な手段ですが、単独では限界があります。

吸音は、室内の反響を抑えるための方法です。会議室の声が響く、オープンスペースで音が拡散する、といった課題には効果があります。ただし、吸音材を増やしても、壁の向こうへ漏れる音を止められるわけではありません。


遮音は、音が別の空間へ伝わるのを防ぐ考え方です。会議室の音漏れ、個室ブースの声漏れには重要です。しかし、遮音だけを強化すると室内が静かになりすぎ、かえって小さな音が気になることもあります。

BGMは、雰囲気づくりには役立ちます。ただし、メロディやリズムが強い音楽は、執務中の注意を引きやすく、Web会議にも混入しやすくなります。空間に合っていない音楽は、心地よさよりも疲れを生むことがあります。


サウンドマスキングも同様です。会話音を目立ちにくくする有効な方法ですが、音量や音質、スピーカー配置が合っていなければ、マスキング音そのものが気になってしまいます。

つまり、音環境改善で重要なのは「何を入れるか」よりも、「なぜその対策が必要か」を見極めることです。



神山聴景事務所が考える「聴景デザイン」



神山聴景事務所では、音環境デザインの考え方を「聴景デザイン」と呼んでいます。

聴景デザインは、人、空間、音、行動、心理を総合的に考え、その空間に適した音の風景を設計する考え方です。音をインテリアの最後に添えるものとして扱うのではなく、空間体験を支える要素として捉えます。


聴景デザインの考え方


たとえば、同じ「集中できるオフィス」でも、黙々と作業するための集中、短時間で深く考えるための集中、周囲の気配を感じながら働く集中では、必要な音環境が異なります。

同じ「話しやすい場所」でも、活発な打ち合わせを促す場所と、安心して相談できる場所では、響き方や背景音のあり方が変わります。


聴景デザインで目指すのは、音が主役になる空間ではありません。むしろ、音が空間の一部として自然に馴染み、利用者の行動や心理をそっと支える状態です。




神山聴景事務所のサービス


音環境デザイン



音環境デザインでは、空間用途や働き方に合わせて、音環境全体を設計します。

対象になるのは、執務室、集中スペース、会議室、受付、ラウンジ、サテライトオフィス、コワーキングスペースなどです。吸音、遮音、レイアウト、環境音、サウンドマスキング、運用方法まで含めて検討します。

たとえば、集中席では会話音の目立ち方を抑え、ラウンジでは会話しやすい余白を残す。受付では企業の印象と落ち着きを両立させる。こうした空間ごとの目的を整理したうえで、必要な音環境設計を組み立てます。





音環境調査及び音響シミュレーション


音響シミュレーション

音響シミュレーションでは、残響時間、音圧分布、音の伝わり方、スピーカー配置などを事前に検討します。

新築や移転、改装の段階では、工事後に問題が見つかると対策が限られます。吸音材を後から貼る、スピーカーを追加する、といった方法はありますが、意匠やコスト、工期の制約を受けやすくなります。

設計段階で音の状態を予測できれば、会議室の配置、吸音面の量、スピーカー位置、サウンドマスキングの範囲を早めに検討できます。働きやすいオフィスをつくるうえで、音響シミュレーションは失敗を減らすための有効な手段です。


KESHIKI soundmasking


オフィスを彩るKESHIKI

KESHIKIは、施工不要で導入できる音環境調整サービスです。

空間用途に合わせた環境音やサウンドマスキング音源を低音量で再生し、会話音の目立ちや騒音感を緩和します。音楽配信サービスではなく、音環境を整えるためのサービスです。

執務室、共有ラウンジ、サテライトオフィス、集中スペースなど、工事を伴う対策が難しい場所でも導入しやすい点が特徴です。大きな音で覆い隠すのではなく、空間に馴染む音で、過ごし方を整えていく考え方に近いサービスです。




自動音量制御システム


オフィスの音環境を整える自動音量制御システム

サウンドマスキングで難しいのは、適切な音量が常に変わることです。

朝の静かな時間帯と、昼の混雑時間帯では、必要な音量が違います。固定音量のままだと、静かな時間には大きく感じ、騒がしい時間には効果が不足することがあります。

自動音量制御システムは、周囲の環境音をリアルタイムに解析し、その場に応じてサウンドマスキング音量を自動制御する独自システムです。環境変化に合わせて音量を調整することで、過剰に目立たず、必要なときには機能する音環境を維持しやすくなります。


資料請求は当ホームページよりお問い合わせください



神山聴景事務所が大切にしている考え方



神山聴景事務所が大切にしているのは、音を単独で考えないことです。

音は、空間の広さ、内装材、家具、照明、人の動き、心理状態と一緒に感じられます。どれだけ音響的に正しい数値でも、その場所で働く人が落ち着かなければ、よい音環境とは言えません。

一方で、感覚だけに頼ると、関係者間で認識がずれます。だからこそ、音環境調査や音響シミュレーションで状態を可視化し、現地で微調整しながら、空間に合う音を探っていく必要があります。

音は、目に見えません。けれど、働く人の集中、会話のしやすさ、疲れにくさ、空間の印象には確かに影響しています。

オフィスの音環境は、騒音を消すためだけのものではありません。その場所で人がどう過ごすかを支える、空間設計の土台の一つです。



よくある質問


会議室の音漏れは、吸音材を入れれば改善できますか?


吸音材だけで会議室の音漏れが改善するとは限りません。


吸音は、室内の響きを抑えるための対策です。一方で、会議室の外へ声が漏れている場合は、壁、扉、ガラス、天井裏、床下、換気口などを通じて音が伝わっている可能性があります。


そのため、会議室の音漏れでは、まず音の伝わり方を確認することが重要です。室内が響いているのか、壁や扉の遮音性能が不足しているのか、隙間から漏れているのかによって、必要な対策は変わります。


会議室の音漏れについては、別記事で「遮音」「吸音」「スピーチプライバシー」の違いを詳しく解説すると、より実務的な情報になります。


Web会議の声が周囲に響く場合、どのような対策がありますか?


Web会議の声が気になる場合、まず考えるべきなのは「声を出す場所」と「集中する場所」が近すぎないかという点です。


レイアウト上の距離を取る、Web会議用ブースや半個室を設ける、吸音性のある家具や仕上げ材を使う、周囲の会話音を目立ちにくくするために環境音やサウンドマスキングを活用する、といった方法があります。


ただし、Web会議の音環境では、周囲に迷惑をかけないことだけでなく、話している本人が快適に会話できることも重要です。声が響きすぎる場所では話し疲れしやすく、逆に静かすぎる場所では発話に心理的な抵抗が生まれることがあります。


Web会議の音環境については、別記事で「席配置」「ブース」「吸音」「マイクに入りにくい音環境」の観点から整理すると、オフィス移転やレイアウト変更を検討している読者に役立ちます。


サウンドマスキングとBGMは何が違いますか?


BGMは、空間の雰囲気づくりを目的に使われることが多い音です。メロディやリズムがあり、聞く人の印象に残りやすい特徴があります。


一方、サウンドマスキングは、会話音や周囲の物音を目立ちにくくするために設計された音です。音楽として楽しむことよりも、空間の聴こえ方を整えることを目的としています。


そのため、執務室や集中スペースでは、音楽性の強いBGMよりも、空間に馴染む環境音やサウンドマスキングの方が適している場合があります。


オフィスの音環境改善は、移転や改装の前に相談した方がよいですか?


可能であれば、移転や改装の設計段階で相談するのがおすすめです。


工事後に音の問題が見つかると、対策できる範囲が限られます。会議室の位置、壁や扉の仕様、吸音材の量、スピーカー配置、集中席と会話エリアの距離などは、設計段階で検討した方が効果的です。


既存オフィスでも改善は可能ですが、設計前から音環境を考えておくことで、働きやすいオフィスをつくりやすくなります。



まとめ



オフィスの音環境改善は、吸音材やBGMを導入すれば終わるものではありません。

Web会議の声、会議室の音漏れ、反響、静かすぎる空気、時間帯による音量変化など、課題は空間ごとに異なります。まずは音環境調査で現状を把握し、必要に応じて音響シミュレーションを行い、吸音、遮音、レイアウト、サウンドマスキング、環境音、運用方法を組み合わせて考えることが大切です。


音環境は、騒音対策だけではありません。

集中しやすい場所をつくること。話しやすい余白をつくること。安心して過ごせる空気をつくること。働きやすいオフィスには、そうした「聴こえ方」の設計が必要です。

神山聴景事務所では、聴景デザインの考え方をもとに、音環境デザイン、音環境調査、音響シミュレーション、KESHIKI、自動音量制御システムまで、空間に合わせた音環境づくりを一貫して支援しています。




 
 
 

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「聴景デザイン」は、神山聴景事務所の商標登録です

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