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第2回 簡単に手早く改善したいオフィスの音環境改善方法の基礎知識講座

執筆者の写真: 神山聴景事務所 株式会社神山聴景事務所 株式会社

今回はよくあるオフィスでの音の悩みについての事例を紹介いたします。

実際の声をもとに、解決策を考えていきましょう。


 

よくあるオフィスでの音の悩み

目次


 


事例① 「会議室から声が聞こえる」


すでにマスキング音を使用している場合


A1. まずは音量の調整を試してみる


原因となる音の音量に対して、マスキング音が小さすぎる可能性があります。 

もし音量調整をしても効果がない場合は、次に音質の調整を試してみてください。 

特に 中間音の周波数帯域を上げることで、 問題が改善することがあります。 

ただし、 この調整 によって自分たちの会話がしづらくなる可能性があるため、 音質調整は慎重に行う必要が あります。



また、PC音声は自動音声解像度処理が施されているため、生音よりも高音域が強調されることがあります。その結果、高音域が漏れて聞こえる場合があるので、この場合は高音域 の周波数を上げながら、漏れが軽減されるレベルまで調整してください。


これらの対策でも効果が見られない場合、使用しているマスキング音自体に問題があるかもしれません。その場合は、音を変更した上で再度音量と音質を調整してみることをお勧めします。もし、これらの三つの対策をすべて講じても効果がない場合は、使用しているサービス提 供元に相談するか、 新しいサービスの導入を検討する必要があるかもしれません。




A2. まだ音の対策をしていない場合


応急処置として、Bluetooth機能付きスピーカーを使用してマスキングを試み、その後、音量や音質の調整を行ってください。最近では、手頃なサイズで360度音が広がるスピー カーもあるため、会議室の環境に応じて使用するのも良い選択です。タブレット端末で音を再生する際は、各ブランドの端末にあるイコライザー設定ページを利用して音質を調整するか、イコライザーアプリをインストールして調整してみてください。ただし、YouTubeなどから動画音声を再生する場合、端末のイコライザー機能やアプ リと連動しないことがあるため、その点には注意が必要です。




 


事例② 「話し声が気になって集中できない


A1. 最も簡単な解決策はイヤホンを使用して音を 聴くこと


です。これにより、外部の音を遮断しつつ、自分に合った音を選んで集中を高めることができます。

もしマスキングにこだわるのであれば、オフィス環境音を試してみてください。これはYouTubeで「オフィスサウンド」と検索すると見つかります。 次におすすめなのは、 ホワイトノイズブラウンノイズです。これらは単調な音で、外部の雑音を遮る効果があります。



さらに音の内容にこだわる場合は、森の音やせせらぎの音、あるいは音楽を使ってみると良いでしょう。集中できる音は人によって異なりますが、個人的にはオフィス環境音が最も効果的で、マスキング効果と集中力の向上を同時に得られると感じます。自分に合った音を見つけることで騒音の影響を軽減し、より快適な作業環境を作ることができます。



 


事例③ 「静かすぎて話しづらい」



A1. 適切な音量で音を再生すること


一般的に快適な騒音レベルは50dBとされていますが、人が声を出すと簡単に50dBを超えてしまいます。そのためこの騒音レベルでは不十分です。55dB前後に調整することで、話しやすさを保ちながら、大きな声や音があっても目立ちにくい、あるいは気になりにくい環境を作ることができます。




補足として、常に聞こえる音はバックグラウンドノイズと呼ばれています。

日常的な騒音レベルバックグラウンドノイズと、会話音や物音が発生した際の騒音レベルに大きな差があると、音が目立ちやすくなります。これが「静かすぎて話しづらい」と感じる原因の一 つです。こうした知識を持っておくことで、より快適な音環境を整えることができます。



 


事例 ④ 「ボリューム調整が難しい」


ボリューム調整は、対象となる空間の環境に基づいて基準を設けることが重要です。

 ここでは、経験則をもとに3つの空間に分類して考えてみました。


  1. カフェのような空間

    仕事ができ、行動に制約がなくリラックスできる空間です。このような空間では、もともとの騒音レベルが高いため、45dBの比較的小さな音量でも問題ありません。

    もし音量を上げたい場合は、中音域を下げることで、音量を上げても快適さを保つことができるでしょう。 


  2. 一般的な執務環境

    社員同士の確認や連絡など、適度な会話が可能な空間です。ここは音問題3で述べた 

    「静かすぎて話しづらい」状況に該当します。通常、40数dBと非常に静かな環境が多いので、50~55dBの間が適切だと考えられます。 


  3. 集中作業の空間

    会話や通話が禁止され、より集中して作業するための空間です。ここでは、他の空間よりも集中に特化しているため、周囲の音に対して敏感になる傾向があります。 このような場合、55dB程度に設定し、周囲の音が気にならなくなったかどうかを確認してみるとよいでしょう。 




これらの数値はあくまで目安であり、使用する音の種類によって適切な音量は変わることがあります。これを参考にしつつ、空間に合わせて試行錯誤しながら最適な設定を見つけ てください。



 

番外編


番外編として騒音レベルの計測についてご説明します。


これまでの説明を踏まえ、音量調整を行った後、どこで騒音レベルを測定すれば良いのか疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。特に、オープンスペースのような広い空間では、測定場所を選ぶのが難しい場合もあります。最も簡単な方法は、空間の中心付近で測定することです。




また中心以外の測定地点とし ては、マスキングしたい座席周辺なども有効です。

最近の計測アプリでは、平均騒音レベルを表示する機能があるので、歩きながら複数の場

所で測定することで、空間全体の平均騒音レベルを把握することができます。


 ぜひお試しください。




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